2018年4月から2019年3月まで放送した339句の中から最優秀の句を選ぶ、第1回俳句アワードが放送されました!
年間最優秀俳句と、月間最優秀俳句をすべてご紹介します!
4月の月間最優秀賞・東国原英夫の句
お題:桜と富士山
花震う(はなふるう) 富士山 火山性微動
夏井先生コメント:桜の花が震えているというアップの映像。震うは風ではなく、火山の微動で揺れているのかもしれないというのを肌で感じたかもしれない。桜の美しさと背後の恐ろしさを一緒に表現している。
5月の月間最優秀賞・松岡充の句
お題:新緑の高尾山
石段を 帰る石竜子(とかげ)や 星一つ
夏井先生コメント:季語トカゲを良く見つけた。表記「石竜子」が石段と呼応している。星一つによって、夕暮れとわかる
6月の月間最優秀賞・FUJIWARA藤本の句
お題:梅雨明け
歩行量調査 戻り梅雨の 無言
夏井先生コメント:歩行量調査というおおよそ詩になりにくい言葉を使って、戻り梅雨という季語をリアルに表現している。最後の「無言」が語っているものが大きい
7月の月間最優秀賞・スルーツポンチ村上の句
お題:夏の食堂
給茶機の(きゅうちゃきの) 上の軋めく(きしめく) 扇風機
夏井先生コメント:兼題写真から発想を飛ばすだけじゃない。そのままありありと再生させる。上のと視線を誘導して、軋めくで、そのあとにやっと扇風機がでてくる。聞いた人すべての人が同じ景色を思い浮かべる。
8月の月間最優秀賞・梅沢富男の句
お題:ラジカセ
旱星 ラジオは余震 知らせおり
夏井先生コメント:季語「旱星」。熱くて赤い星のイメージが余震の不安をかきたてていく。この取り合わせがうまい。
10月の月間最優秀賞・三遊亭円楽の句
お題:運動会
断雷に 靴紐きつく 秋の朝
夏井先生コメント:靴紐きつくにその日のやる気のようなものが滲みます。秋の朝はさりげなく心に入ってきましたよ
11月の月間最優秀賞・FUJIWARA藤本の句
お題:晩秋のレストラン
タイカレーの ラムは骨付き 銀杏(いちょう)散る
夏井先生コメント:タイカレーのラムが来て、さらに骨付き、メニューを説明するだけかと思ったら、形が同じ色が同じ、相似形、似たところをすくい取るのが取り合わせのコツですね。
12月の月間最優秀賞・中田喜子の句
お題:
連覇のさきぶれ 沸き立つ初電車(はつでんしゃ)
夏井先生コメント:応援に行く人の心の高ぶりを「初電車」という季語に託す、やっぱりうまい。初の字のめでたさ華やぎ全部入ってきました。
1月の月間最優秀賞・鈴木光の句
お題:初詣のお賽銭
賽銭の音や 初鳩(はつばと) 青空へ
夏井先生コメント:賽銭の音と言ったら皆同じ音を思い出しますね。鳩の飛び立つ音がそれに重なる。その音を描いているのが青空へという助詞。うまいねぇ、光ちゃん。
2月の月間最優秀賞・梅沢富男の句
お題:ひなまつり
神雛のにぎやか 島の駐在所
夏井先生コメント:俳句でにぎやかなんて言葉は大雑把で難しいんですけれども、ものすごくうまく使えている。紙雛に焦点を当てているんだけれども、島の駐在所という場面が見事にひろがってくる。
3月の月間最優秀賞・柴田理恵の句
お題:春の号外
「犯人逮捕」 干鱈(ひだら)を毟る(むしる) 母の黙(もだ)
夏井先生コメント:鍵カッコで犯人逮捕、これだけでも新聞の見出しがわかります。そこからカットが変わって、ひだらを毟っているお母さんがでてくる。モダという言葉は単純な沈黙ではなくお母さんの心情を語る。
年間最優秀俳句は!(9月の月間最優秀賞の)東国原英夫の句です!
お題:松山
鰯雲 仰臥(ぎょうが)の子規の 無重力
解説:仰臥とはあお向けに寝ている様。正岡子規が晩年描いた仰臥漫録を書いたところから発想を膨らませた。鰯雲は子規が闘病の末無重力状態になってあらわれたのではないか、と言う句です。
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